こんにちは。「今日は選択日和」へようこそ。
「不安」「対人恐怖」「パニック」そんな言葉をインターネットで探す中で、このページにいらした方、お越しくださりありがとうございます。
2020年。コロナウイルスの感染拡大に伴って、未曽有な状況が続いています。そんないつもとは違う状況の中で感じる不安は自然なものです。そういった不安に対処したい方に向けて「不安のしくみと対処のしかた」を知っていただけたらと思います。
一方で、不安や対人恐怖は自分の性格によるもの「心配性で怖がり」「慎重で考えすぎる」だと考えながら、不安とともに長らく過ごしてきた方がいらっしゃるでしょう。そんな方に向けて書いています。
時折暮らしの中で強いストレスがかかる出来事が起こると、とてもつらい。一人で対処することに難しさを感じている。強い不安によって、呼吸が苦しく、心臓がドキドキして、変な汗が出てくる時がある。緊張によって肩や背中がこわばって、頭も痛い。吐き気を感じることもある。
たいていの人にとっては何でもないような状況において、そこまで緊張しなくてもいいんじゃないかと思えるような反応をしてしまう。例えば、数人の前で発言するといった場面を恐れて、なんとか避けようとする。または特定のタイプの人と関わる時に不安が出やすい。「この不安や恐怖はもしかしたら特定の対人関係に影響を受けて引き起こされているのではないか」そんな気がしているあなたへのメッセージです。
わたしは「関係性からもつれを紐解く心理士」として、日々、ご縁のあった方々とカウンセリングをさせていただいています。その中で、対人関係の中で起こる不安や恐怖、パニックに焦点を当てて、緊張やストレスが高い対人関係のなかにいても、ゆったりと自分の中心に留まっていられる状態を拡大していけるようにサポートさせていただいています。このようなグラウンディングした状態を整えてからのカウンセリングはよりその方の全体性に沿った言葉が出てくるものです。
■カウンセリングでは、安心・安全を存分に感じていただく時間をたくさん持ちます
「最近、暮らしの中で、ゆったり落ち着いた気持ちでいられる時間をどのぐらい過ごせていますか?」1日5分でもそういった時間を持てているでしょうか。
わたしとのカウンセリングでは、あなたに安心・安全な状態を思い出していただくことから始めます。
「なんか苦手そうだな」そう思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。心に傷を負っている人は、不快な感覚に圧倒されることを恐れ、身体感覚を鈍感することで対処したり、遠ざけていることが多いでしょう。あわただしく落ち着かない気持ちでいることで、見ないですむ何かがあるのかもしれません。あなたが使う防衛のかたちかもしれません。蓋をしたものが、突然訪れる不安や怯えと関係があるのかもしれません。それに取り組むのは先のことです。
■安心安全を拡大していく方法
呼吸と身体感覚、イマジネーションを用いたワークによって、安心安全を体感し、そこにしっかりとグラウンディングします。その状態を存分に味わい、保つ時間を作ります。その感覚をあなたの体の中に閉じ込めるようなワークです。あなたの落ち着いた状態を拡大できるようにしていきます。
それはカウンセリングの延長にある暮らしのなかで、自分の中心にゆったりと座る。深く呼吸して、ただくつろぐ。そういった時間を拡大していくことにつながっていきます。
■ほとんどお話しない。ただ安心と安全を広げてそこに入り込むだけのカウンセリングもあります
「今日はお話はなしで、リラックスの時間にしたいです」ただリラックスを拡大するための時間としてカウンセリングを受ける方がいらっしゃいます。朝お子さんが目覚める前に、夜眠る前に、大事な試験を控えている時期に。「まるで隣で背中をさすってもらっている気持ちになります」「こんなにゆっくりできたの、いつぶりだろう・・・」「言葉にできない深い時間。体に感じた温かさを大事にしたい」そんな声をいただきます。対面ではないオンラインカウンセリングの感想なのに不思議ですね。実際に経験することに興味あがあればお気軽にお問い合わせくださいね。体で感じるくつろぎは言葉で理解するより体験することでしか伝わらないかもしれません。
カウンセリングで呼吸や身体感覚を扱う背景にあるわたしの考えについて、お伝えしたいと思います。
■目指す状態は「耐性領域」にとどまること=あなたが自己コントロールできている状態
耐性領域。そこではあなたが頭で考えて判断できる状態、自分の気持ちを感じられ、落ち着いて回りを見る目を持ち、相手の声も聞こえている。そう、あなたが自己コントロールできている時、あなたは耐性領域内にとどまっていると言えます。そこでは理性脳と情動(感情)脳が適切な均衡を保って機能できます。
一方で、この耐性領域から「過覚醒」するかたちで上振れする状態は、緊張し、警戒し、落ち着いて目の前のものを見ることができない、パニック状態です。また耐性領域から下振れすると、ぼんやりとしたり頭の働きが鈍って記憶があいまいになったり、意欲がわかない「低覚醒」状態が起こります。
■「穏やかな呼吸」と「自分の内側に向いた意識」今ここにとどまることで可能になる
日々の練習によって、わたしたちは耐性領域にとどまれる時間を拡大していくことができます。そして、その方法は難しくありません。ほっとしますね。「穏やかに呼吸し続けること」「今ここで、しっかりと自分自身を感じ取ること」自分の内側に意識を向けること、内観することで自己認識を拡大させていくことができます。
■こんな方法を使います:呼吸法・体にアプローチ
呼吸や身体感覚に焦点を当てる方法はたくさんあります。東洋のものだとヨガや武道、座禅や瞑想はそれにあたるでしょう。呼吸法はいろいろあり、丹田呼吸法・横隔膜呼吸法・太陽神経叢呼吸法を場面に応じて十全に活用します。西洋由来のものだと、自律訓練法、フェルトセンス、イメージング、そう言ったものを好んで使います。
直接、身体にアプローチする方法もありますね。経絡・ツボを押すことで、交感神経の働きを抑制する方法もあります。カウンセリングでは、わたしが心身のつながりを勉強し実際に試して役立つと感じた体からのアプローチ法を使うこともあります。これらは暮らしのなかで活用いただけるようにお伝えをしていきます。
■リラックス状態に近い身体的な変化が起こる
わたしたちが覚醒状態にあるところで、深い呼吸を数回し、身体感覚に注意を向けることで何が起こるのでしょうか。自律訓練法(くつろいだ姿勢で温かさと重さを手と足で順番に感じていく方法)を行った前後に身体的変化を測定した先行研究では、血圧・心拍数が正常域へと変化し、体温は上昇し、末梢神経系(交感神経支配と言われています)に変動がなくなり(興奮時は変動が顕著)*、不安が軽減し、呼吸数が減ると紹介されています。迷走神経系は必ずしも一方向に変化するような単純なものではありませんが、副交感神経の働きを上昇させること、交感神経を抑制することができます。つまりはリラックスした状態になるということが言えるでしょう。
■マインドフルネス:東洋の知恵がエビデンス付きで逆輸入
「マインドフルネス」という言葉を聞いたことはありますか?少し前からでしょうか。座禅や瞑想といった東洋の知恵を汲み取ったマインドフルネスによって、内的世界へのアプローチをする結果、心が落ち着く、仕事のパフォーマンスが上がる、と個人、企業、いろんな場所で取り入れられ注目を集めています。アメリカで東洋の知恵が取り入れられ、状態の改善が評価され、科学的に検証され、エビデンスと共にアジアへの逆輸入された、そんな印象を受けます。
マインドフルネスは、カパットジンさんという心身医療の専門家がうつ病や慢性的な疼痛を抱えた人に向けてのストレス低減法として開発されたプログラムから始まりました*。
マインドフルネスでいる状態は「気付きと注意とを内包した、内外に意識が及んでいる状態」であり、同時に「不安や抑うつや敵意が低減している状態」であると彼はいいます。まさに、わたしたちが目指す、不安が落ち着いている状態と言えるでしょう。加えて、この状態は「無意識に外/内的世界に自動反応する癖を断つことを可能し、その結果、物事をありのままに知覚し、注意/集中力を治癒や問題解決といった意識的な選択に有意義に活用できると、人生を豊かにする」となんとも心強い。
5つの瞑想法で構成されているマインドフルネスストレス低減法。そのうちのひとつをご紹介します。「食べる瞑想レーズンエクササイズ」と呼ばれているものがあります。ひと粒のレーズンを前に,初めてレーズンに出会う気持ちで視覚と触覚と嗅覚で丁寧に関わる。その後レーズンを口へ入れて味覚と舌触りでレーズンを経験する。食べるという日常の行為が新しい活動として経験される体験によって、日々を鮮やかに感じ、今ここを生きる体験をひとつ重ねる。その蓄積が、慢性陣痛と共に生きる痛みを和らげてくれるといいます。
呼吸と身体感覚を拡大させるマインドフルネスの状態が、免疫反応や血圧への変化といった身体への変化、脳へのよい変化、偏桃体の活性化が抑制されるという結果が脳波やCTでも認められており*、これは興奮状態が沈まったといえます。脳回路の特定部分にも具体的な変化を起こすことができるとされていて、感情的な反応に邪魔されず、集中したいことに注意を払える調整能力の向上に効果があるというエビデンスがあります*。
より詳しい論拠に関心がある方はこちらへ。わたしが呼吸法、身体感覚を通しての内観の有効性を理解しようと試み、脳科学、神経生理学的側面を含めた先行研究をまとめたものをご紹介しています。
■現代に生きるわたしたちに必要なもの:原点回帰
ご紹介したマインドフルネス。東洋人にとっては比較的に身近に感じられる、特別だったり難しさは感じられないですよね。これらの東洋の知恵を取り入れることでストレスを減らせると、立証され、エビデンスと共に西洋から太鼓判をもらうようで心強いです。
「食べることをゆっくりとただ体験する」これには特別さはないし、難しさもありませんが、こういったゆったりとした時間を確保することそのものが、わたしたち現代人の暮らしの中では難しくなっているのかもしれません。
きっとわたしたちは忙しすぎるのでしょう。自然から切り離された都会的でデジタルにあふれる暮らしの中で、わたしたちは思考に傾倒しがちで、知性と感情の間に解離が起き、それは感情と身体感覚の鈍麻を生んでいます。心を亡くすと書いて忙しい。気づかない間にたくさんのストレスをわたしたちの心と体は感じている。だからこそ、意識的に自分にとどまる時間を持つこと、自分を世話をすることは、生きていくうえで必要なのでしょう。
そう。昔、身近だったものに立ち返ってみる。わたしたちはほんの少し、原点回帰していけばいいのかもしれません。
■体と呼吸で内側が整ったら、思考へ。思考と身体感覚の相互作用へと進みます
安心、安全にしっかりと留まれるようになったら、耐性領域にいる状態で、あなたの不安について、対人恐怖について扱える準備が整っていくでしょう。あなたの気持ちを確認したうえで、あなたのお話を伺っていきます。あなたに起こっていることについて、思考してひも解いていく段階へと進めていきます。
■わたしが考える「対人不安・対人恐怖」から起こる「極度な不安・パニック症状」とは
「他者との関係性の中で自分の言動が否定的に解釈され、ネガティブな結果に陥った数多くの経験から、それを回避しようと「極度な不安・パニック」という反応で、あなたに知らせてくれるあなたの脳神経系からの警告」。
■その反応は関係性の中で起こるもの、だからこそ関係性の中で扱うことに意味がある
「ひとり部屋にいるには、ぜんぜん平気なのに。。」そんなふうに思ったことはありませんか?
または
「実際にここに存在しない人の存在に影響を受けて恐れおののいている」そんな不在の存在を強く思い知らされることはありませんか?
恐れおののき怯える極度の不安は、人との関係性、関わり合い、つながりの中でこそ表面化するものと言えるでしょう。だからこそ「不安の症状だけに焦点をあてて、抑えもう、取り除こうとするやり方は最適解ではない」とわたしは考えます。あなたがこの症状を起こすに至った「特定の対人関係」ごと、まるまるっと扱う必要がある。そういう意味でも、セラピストとの結びつきの中で対人関係を扱うカウンセリングという形態は有効であると言えるでしょう。
■カウンセリングでは具体的な場面について問いかけます
さっそくですが、あなたにひとつ質問してもいいですか?
「あなたは最近、いつ、どこで、どんな場面で、誰の前で、それが起こりましたか?」
それとはあなたが「社交不安」「パニック症状」だろう考える症状のことです。
そこで「あなたは何かにおびえていたのではないか」そう想像します。
その時。
あなたの頭の中では、あなたを急かす、あなたを追い立てる声が鳴り響いているのではないでしょうか。
いつものお決まりのフレーズ。
「あなたには、どんなフレーズが聞こえていますか?」
それは人の数だけ違うフレーズだと思いますが、共通点はある。わたしはそう考えます。
「そのままのあなたではだめだ」と「あなたを急き立て、追い立てるフレーズ」があなたを取り巻く世界で「ものすごい音量で鳴り響いている」そんな共通点があるのではないか、とわたしは推察します。
あなたにもうひとつ、質問です。
「それは誰の声であなたの耳に聞こえていますか?」
ふたたび質問です。
「そのことを思い出す時、あなたの体にはどんな反応が起きますか?」
カウンセリングではこのような形で、具体的にあなたが体験していること、あなたの世界で起こっていることを聞いていきます。思考と身体感覚の両方から、あなたの体験を聞いていきます。
■ものごとにはすべて始まりがあります。あなたの症状の「始まり」「ルーツ」をお尋ねします
あなたに極度の不安が起こるようになった「始まりがある。ルーツがある」わたしはそう考えます。あなたの準備が整った時に、あなたの物語を聞いていくことになるでしょう。
そのルーツは「特定の誰かとの関係の中で、あなたは極度の不安や恐怖といった反応を起こすことを学習してしまった」そう考えます。あなたの物語はそのルーツ、つまり「あなたの反射的反応が出るようになった、学習の歴史を紐解いていく」ことでもあります。
再び、質問です。
「他人の目が怖い」
あなたがそう感じるようになったのは、いつごろからでしょうか。あなたが「思春期」と呼ばれる世代である場合、それは一過性であることも多いです。
一方で、長きにわたって、そんな症状が続いていて苦しまれている方もいるでしょう。ある出来事をきっかけに悪化してしまった、そんな方もいるでしょう。
時に、その緊張が、当然であり、適切な範囲の反応である場合もあるでしょう。ええ。人前で緊張しない人などそうはいないでしょうから。しかし、それが過剰すぎる緊張で、生活に支障が及ぶレベルにまでなっている、そんな苦しみに疲労困憊している方もいるでしょう。
■社交不安・対人恐怖 こういう人がなりやすい
社交不安に関する論文を読む中で、こんな傾向のある人が社交不安になりやすい、そんな目安が見えてきます。あなたにあてはまりますか?
・感情に敏感で繊細な気質が強い傾向がある。
・自分の言動に、否定的な解釈が添えられることに強く怯えている傾向がある。
・対人関係において否定的な結果を予測する傾向がある。
・他者の否定的な言葉、否定的な表情をくみ取る感度が高い傾向がある。
・自分がしたかつての言動に関して、否定的にとらえた振り返りをする傾向がある。
いかがでしょうか。いくつかあてはまりましたか?
「こういう傾向がある」というのは、つまり「特定の関係の中で、何度も何度もこのような経験を積み重ねてきた人」と言い換えることができると思います。
あなたは「かつて経験した、引き受けがたいネガティブな感情が発生する事態を避けたい。それに怯えている。それを避けたい。その状況だけは避けたい」
このような、無意識の強い防衛から極度の不安・パニックが引き起こされています。
あなたが避けたいこと。どんなことでしょうか。人それぞれだと思います。例えば、叱責される。否定される。拒絶される。恥をかかされる。笑われる。叩かれる。
あなたの強い不安はあなたに教えてくれています「また、以前みたいなことが起こるよ、警戒して!警戒して!」あなたを守ろうと、必死に、あなたの中で警報を鳴らしてくれているんです。
そう。極度の不安はあなた自身を守るための、あなたの内側からの必死の警告・叫びです。
お気づきになったでしょうか。あなたの内側からのメッセージに。
対人不安とは「他者との関係性の中で自分の言動が否定的に解釈され、ネガティブな結果に陥った数多くの経験から、それを回避しようと「極度な不安」という反応で、あなたに知らせてくれるあなたの脳神経系からの警告」。わたしはそう考えます。
■適切な不安、とは違う。「極度な不安」は過敏すぎる警報器のよう
あなたが特定の他者との関係で学習してしまった経験から起こる「極度の不安・心配」は心身に悪影響を与え、あなたの元来のパフォーマンスを著しく低下させます。過敏すぎる警報器。
■あなたの目指すゴール
「極度な不安という過敏すぎる警報器を、あなたの助けになる適正な範囲でのみ鳴るようにすること。あなたを驚かすほどの大音量ではなく、適切な反応であなたに知らせてくれるようにすること」
そのために、あなた(の脳神経系)は学習しなおす必要があるかもしれません。
■脳神経系の視点から極度な不安のしくみを知る
社交不安に関しては、いろんな研究がされており、たくさんの論文が発表されています。
この界隈を学んでいくと、神経心理学、神経生物学、脳神経学、そういった領域の力を借りることで理解が深まります。これらは避けては通れません。
それは、わたしが冒頭に書いた「カウンセリングを通して、あなたが誰かとの間でしてきた学習の歴史、反射的な反応するに至った学習の歴史を紐解くことになる」という考えに至った背景にある学問です。
これらの学問を用いると、脳神経系の反射のレベルで、社交不安のメカニズムを理解することができます。それはトラウマが起こる仕組みと非常によく似ています。こちらにかみ砕いて説明したページがあります。
あなたとのカウンセリングの時間で、あなたにそれらの仕組みを説明することもあるでしょう。学問的な説明をして、認知的に理解することがあなたの助けになるかもしれません。それは心理用語では、心理教育、というステップにあたります。
■あなたの挑む相手は、あなたの頭から湧いて出る「自動思考」、そのしっぽをつかむ!
実際のカウンセリングの場では、あなたが反射的に反応する、あなたの「自動思考」が無意識的に飛び出る、その一瞬の瞬間を掴み、あなたに示すことになります。不安のしっぽをつかむんです。
■自動思考は上書きできます
反射的にあなたに浮かんでくる「自動思考」はなかなか手強く、すぐには消えてはくれないかもしれません。
ですが、安心してください。自動思考から生まれる対人関係のパターンは大人になってから変えられる、上書きできる。これが現代の発達心理学におけるエビデンスのある(証明のある)見解です*。健全な人との継続的な関係構築により、より安全な対人関係のパターンへと変化していけるのです。希望の光はあるのです。
■カウンセリングについて。体と呼吸はあなたの心を守ってくれている大切な味方です
カウンセリングの時間では最初にあなたの身体と呼吸を味方につけることが必要です。呼吸や身体感覚を十全に使った安全な感覚の維持、グラウンディングといった方法は、あなたを圧倒する感情や極度の不安、パニックから守ってくれる大事な方法です。そして、呼吸と身体感覚を通して、起こることを微細に感じ取る、気づいていく、内観するための土台ができていきます*。身体感覚を拡大させる方法や、適切な呼吸は、あなたの心を不安から守ってくれます。
さあ、体をグラウンディングさせ、呼吸を整えたら、お話を始めます。脳神経学的には脳の内側前頭前皮質という部分を活性化している状態であり、過度な不安やパニックが起こる大脳辺縁系や脳幹へとアクセスできる状態と言えます。
■わたしはあなたと共にあなたの内側、深いところに横たわる恐怖を、憤怒を、悲しみに耳を傾けます。
あなたはきっと、その恐怖に触れることをずっとここまで恐れてきたことでしょう。だからまとまっていない断片化している語りとなるでしょう。あなたはあなた自身の安全を守られたカウンセリングの時間の中で扱うことができます。自分自身で深いところに横たわる感情を感じていけるようになるでしょう。
そしていのうえという新たな相手から新たな反応を受け取ります。今までとは違う新しい反応を受け取ることになるわけです。最初は違和感をお持ちになるはずです。だって、あなたはご自身の言動に対して、相手がこう解釈するだろう、こう反応するものだ、そういう、予想をもとに、身構え、自動思考で不安が湧き出ているのに、その予想がはずれるわけです。必要のない反射反応が勝手に出てくる。その矛盾に気が付く機会を持つでしょう。今までの古いなじみの自動思考のしっぽをつかむのです。一度、そのしっぽをつかむことができれば、あなたのものです。
■新しい反応を受け取り、上書きしていく。学習しなおす。
あなたに対して相手が示す反応として、あなたが緊張せずにいられるほうの反応を、自分の言動への適切な反応だと解釈して、上書きしていけばいいのです。あなたに生きづらさを感じさせる、昔馴染みの、あなたを苦しくさせる、自分の言動に他者が付す解釈、他者が示す反応を葬りさることができる、意識的に手放していけるのです。頭による思考と体感を持って深く感じるレベルの両方で、新たに結びなおしていくことになるでしょう。
一度その感覚がつかめれば「自分の状態に敏感に感度高く気づいている」状態を拡大させることができます。あなたは自分の思考の癖がどういった時に出やすいのか、どんな状況で、どんな人の前で、などなど、極度な不安という自動思考を引き起こすトリガーに関する情報を増やしていけます。思考と身体感覚の両方に敏感により時差なく、気づけるようになっていきます。それを前にした時の自分の反応をしっかりと感じ取ります。呼吸と共に、身体感覚と共に。
そして、反射的に出てしまう反応を体で感じながら、あなたは意識的に意思を持って、思考しながらそれを扱えるようになっていく。無意識の反射に引きずられる状態を終わらせることができるようになります。
■あなたが目指す状態・いずれ獲得するであろう状態とは
適切な不安は、あなたを危険から守ってくれる。あなたの味方になる。極度な不安は、そんなしょっちゅうは発動しない。そんな、適正な不安への感度を携えながら、安心とともにいられる暮らし。そんな日常を取り戻すための歩みを、一緒に始めませんか?
ものごとには、始まりがあります。あなたがこのページに来てくれたときに、その歩みはすでに始まっている。わたしはそう思います。
ひとりで抱えるには苦しみが大きすぎる。そんな時は連絡ください。隣であなたと一緒にゆったりと呼吸をし、体を緩め、安心を感じてから、あなたの気持ちに触れることで、少しでも楽に生きられるお手伝いができるかもしれません。お気軽にご連絡いただけたらと思います。
ご縁に感謝しつつ。
参考:
Gendlin, E.T.(1982)
S.W Porges(2010)
J.E.LeDoux(2000)
Kabat-Zinn(1990,2013)
Segal,Williams,&Teasdale(2002)
Hirsch & Clark(2004)
Hirsch (2012,2018)
Rothschild(2000)
Lahad(2013)
Y.-C. Feng他 (2020)
Van der Kolk(2014)
L.E.Carlos, et al.(2007)
R.J.Dabidson, et al.(2003)
岡, 松岡, 三島, 中川(1993)
相澤(2015)
大谷(2014)
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